1. 死者の日(Día de los Muertos)|先祖を敬うカラフルな祝祭
概要
死者の日は、毎年11月1日と2日にわたって行われるメキシコの伝統的な祝祭です。亡くなった家族や友人を偲び、彼らの魂が再び家族のもとに帰ってくると信じられています。
この祝祭は悲しみに暮れるのではなく、笑いや音楽、食べ物に囲まれた「死を祝う」陽気な雰囲気が特徴です。
アステカ時代の死生観とカトリックの万霊節が融合して生まれ、2010年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。
開催日程・時期
毎年 11月1日(幼くして亡くなった子どもを偲ぶ日) と
11月2日(すべての死者を偲ぶ日) に行われます。
主な行事や風習
・オフレンダ(Ofrenda):家の中や墓地に祭壇を設け、故人の写真、好きだった食べ物、マリーゴールド(センパスチル)、キャンドルなどを飾る。
・カラベラ(Calavera):砂糖でできたガイコツの飾りや、ユーモラスにデフォルメされた骸骨の人形。
・死者の日メイク:カトリーナ(La Catrina)という華やかなガイコツの女性をモチーフにしたフェイスペイントが人気。
・墓地での宴:家族が集まり、墓の前で食事や音楽を楽しむ。夜通し灯りを灯す地域もある。
代表的な開催地と特徴
メキシコ全土で行われますが、代表的な場所を4つ紹介します。
- ミスキック(Mixquic/メキシコシティ郊外):静かな雰囲気で伝統的な墓地行事が体験できる。
- パツクアロ(Pátzcuaro/ミチョアカン州):湖に浮かぶハニツィオ島での幻想的な灯籠の風景が有名。
- オアハカ(Oaxaca):色彩豊かな祭壇やパレード、民族舞踊が行われ、観光客にも人気。
- メキシコシティ:現代的な要素を加えたパレードや展示があり、盛大に祝われる。
注目ポイント
・ユネスコ無形文化遺産に登録(2010年)
・「リメンバー・ミー」など映画で世界的にも有名に
・死を恐れず、受け入れ、笑い飛ばすメキシコ独自の死生観が表れている
観光のポイント
・祭壇や装飾を見るなら11月初旬に訪問を。
・現地の衣装やメイクに挑戦して一緒に祝うのもおすすめ。
・混雑を避けるなら小規模な村を選ぶと良い。
2. グアナファト国際映画祭(Festival Internacional de Cine de Guanajuato)|街全体が映画館になる国際的な祭典
概要
グアナファト国際映画祭(GIFF)は、毎年7月にメキシコの歴史都市グアナファトで開催される、ラテンアメリカでも有数の映画祭です。
映画館に限らず、トンネルや墓地、美術館、広場など街中を舞台に上映が行われるユニークなスタイルが特徴です。
新進気鋭の映像作家から著名な監督まで、世界中の多彩な映画が紹介され、映画ファンはもちろん、芸術・文化に興味のある旅行者にも人気があります。
開催日程・時期
例年 7月下旬から約1週間 にわたって開催されます。
※年によって日程は若干異なります。
主な行事やプログラム
・国際映画コンペティション:短編・長編・ドキュメンタリーなど、世界各国からの応募作品が上映される。
・テーマ別セクション上映:ジェンダー、環境、政治など多様なテーマの映画が特集される。
・屋外上映会:トンネル内、墓地、美術館前など、街中の空間を活用した野外上映が大人気。
・ワークショップ・講演会:映画関係者との交流や学びの場も設けられており、学生やクリエイターにも注目されている。
開催地と特徴
・グアナファト市内全域:コロニアルな町並みと映画の幻想的なコントラストが魅力。
・アレハンドロ劇場(Teatro Juárez):荘厳な建築の劇場でオープニング・クロージングイベントが行われる。
・サンタポーラ墓地(Panteón de Santa Paula):墓地での映画上映は、唯一無二の体験。
注目ポイント
・1998年に始まり、世界120か国以上からの作品が集まる国際的イベント。
・上映はほぼ無料で、誰でも気軽に映画体験ができる。
・ナイトライフと映画文化の融合で、観光とエンタメの両立ができる祭りとして高評価。
観光のポイント
・イベント時期は混雑するため、宿泊の予約は早めに。
・町全体が映画祭会場となるため、徒歩移動がおすすめ。
・映画以外にも、グアナファトの街並みや博物館観光と合わせて楽しむのが◎。
3. ゲラゲッツァ祭(Guelaguetza)|先住民の文化と伝統が息づくオアハカ最大の祭典
概要
ゲラゲッツァ祭は、メキシコ・オアハカ州で毎年7月に開催される、先住民の文化と伝統を祝う壮大な祭典です。
正式名称は「ロス・ルーネス・デル・セルロ(Los Lunes del Cerro/丘の月曜日)」といい、オアハカ各地の先住民族が集まり、踊りや音楽、伝統衣装を披露します。
この祭りは、メキシコの中でも特に多様な先住民文化を有するオアハカ州ならではの、誇り高い文化イベントです。
歴史的背景
・起源は、スペイン到来以前のサポテカ族の豊穣の儀式にさかのぼります。
彼らはトウモロコシの女神「センテオトル」に捧げる踊りや供物の儀式を山の上で行っていました。
・植民地時代には、キリスト教の要素(聖母マリア信仰)と融合し、カトリック的祝祭としても発展しました。
・1920年代に、オアハカ州政府が文化保護と観光促進の一環として公式に開催し始めました。
・「Guelaguetza」という言葉はサポテカ語で「贈り物の交換・助け合い」を意味し、祭り全体が相互扶助の精神を象徴しています。
開催日程・時期
・毎年7月の第2・第3月曜日(丘の月曜日)に開催
約2週間にわたって関連イベントやパレードも行われる
主な行事やプログラム
・民族舞踊の披露(フォルクロリコ):8つの地域から参加団体が集まり、伝統衣装で踊る姿は圧巻。
・パレード(Calenda):巨大な紙細工人形やブラスバンドとともに市内を練り歩く。
・郷土料理の屋台:トラジューダやモレなど、オアハカの伝統料理が味わえる。
・センテオトルの選出:オアハカ女性の中から、伝統と文化を体現する女性が「女神」として選ばれる。
開催地と特徴
注目ポイント
・観客へのお菓子や果物の投げ入れは、プレゼントの象徴として人気。
・地域ごとの伝統衣装の違いや、手刺繍の美しさに注目。
・世界中から訪れる観光客でにぎわう、インスタ映え必至のイベント。
4. メキシコ独立記念日(Día de la Independencia)|メキシコの誇りと歴史を祝う日
概要
メキシコ独立記念日(Día de la Independencia)は、毎年9月16日に行われる、メキシコにとって最も重要な祝日です。
この日は、1810年にメキシコ独立戦争の先駆けとなる**「エル・グリート・デ・ドロレス(Doloresの叫び)」**が発せられた日を記念しています。この出来事を皮切りに、メキシコはスペインからの独立を勝ち取るために戦いを始めました。
歴史的背景
・1810年9月16日、ドロレスという小さな町の教会で、ミゲル・イダルゴ(Miguel Hidalgo)神父が「エル・グリート・デ・ドロレス」と呼ばれる独立の叫びをあげ、メキシコ独立戦争が始まりました。
・イダルゴ神父は、当時のスペイン植民地支配に抗議し、民衆を立ち上がらせるためにこの演説を行いました。これがメキシコ独立戦争の起点となり、その後、さまざまな戦闘が繰り広げられました。
・独立戦争は最終的に1821年に勝利を収め、メキシコは正式に独立を達成しました。しかし、9月16日という日はその戦いの始まりとして特別な意味を持ちます。
メキシコ独立記念日での主な行事
・エル・グリート・デ・ドロレスの再現:
9月15日の夜、メキシコ市の**国家宮殿(Palacio Nacional)**で、メキシコ大統領が独立戦争の始まりを祝って「エル・グリート」を行います。これは市民に向けて行われる重要な儀式で、国内全体でライブ中継されます。
・花火とパレード:
9月16日の朝、メキシコ市をはじめとする主要都市で軍事パレードが行われ、伝統的なダンスや音楽のパフォーマンスも披露されます。特にメキシコ市のパレードは圧巻で、数万人が参加します。
・民間の祝い:
市民は町の広場に集まり、花火を打ち上げたり、音楽やダンスを楽しんだりします。伝統的な料理(タコスやモレ)や飲み物(テキーラ、メスカル)も重要な役割を果たします。
・コスメ・デ・アジア(Las Mañanitas):
民間の祝賀行事では、メキシコの民族音楽「マリアッチ」が演奏され、歌いながら家々を回ることも一般的です。
開催日程・時期
毎年9月16日。
開催地と特徴
注目ポイント
・**「エル・グリート」**はメキシコのアイデンティティの象徴です。
この言葉(ドロレスの叫び)は、メキシコ独立戦争を始めるきっかけとなり、今日でもメキシコ人にとって重要な歴史的な瞬間です。
・メキシコ全土が盛大に祝う
都市から田舎まで、メキシコ全土で同じ日に祝賀行事が行われ、国を挙げての大きな祝祭日となります。
・食文化:
メキシコ独立記念日には、特にモレ(辛いソース)やトルティーヤ、テキーラなど、メキシコの代表的な食文化を堪能できる絶好の機会です。
5.カンクン・リビエラマヤ国際音楽祭(Riviera Maya Jazz Festival)|ジャズ音楽の祭典
概要
カンクン・リビエラマヤ国際音楽祭(Riviera Maya Jazz Festival)は、メキシコ・カンクンの美しい海岸線を背景に開催される、ジャズ音楽を愛する人々にとって一大イベントです。
毎年11月末に行われ、世界中からトップジャズアーティストが集まり、3日間にわたって熱いパフォーマンスを繰り広げます。リビエラマヤ地域の観光スポットの一つとしても大きな注目を集めるこの音楽祭は、音楽とビーチが融合した特別な体験を提供します。
歴史的背景
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カンクン・リビエラマヤ国際音楽祭は、2003年に始まり、現在ではメキシコ国内外から多くのジャズファンや観光客を集める一大イベントとなっています。
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初めは、地域の観光振興や文化交流を目的として始まりましたが、年々規模が拡大し、世界的に有名なジャズアーティストを招待するまでに成長しました。
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音楽祭は、カンクンのビーチを舞台に無料で行われるため、誰でも気軽に参加でき、リラックスした雰囲気の中で高品質な音楽を楽しむことができます。
メインイベントと見どころ
・ジャズの名手たちによるパフォーマンス
毎年、ジャズ界の伝説的なアーティストや、今注目の新鋭アーティストがステージに立ちます。過去には、ジョージ・ベンソンやアート・ブレイキー、ハービー・ハンコックなどが出演し、観客を魅了しました。
・ビーチサイドでのライブ音楽
会場は、カンクンのビーチフロントに位置しており、リラックスした雰囲気の中で音楽を楽しむことができます。波の音や風を感じながらの音楽体験は、他では味わえない特別なものです。
・ローカルフードと音楽の融合
音楽祭の期間中には、地元の美味しい食べ物やドリンクも楽しめます。メキシコの伝統的な料理やシーフード、テキーラやメスカルなどを味わいながら、音楽を堪能できます。
開催地と特徴
開催日程・時期
注目ポイント
メキシコのおすすめイベント5選のまとめ
メキシコのイベントは、その歴史や文化、伝統を体験する絶好の機会です。
イベント名 |
開催時期 |
開催地 |
見どころ |
死者の日(Día de los Muertos) |
11月1〜2日 |
全国
(特にオアハカ・メキシコシティ) |
祭壇、カラベラ、夜のパレード |
グアナファト国際映画祭 |
7月ごろ |
グアナファト
サン・ミゲル・デ・アジェンデ |
インディペンデント映画、国際交流 |
ゲラゲッツァ祭 |
7月(2週目と4週目の月曜) |
オアハカ州 |
民族衣装、先住民文化、ダンス |
メキシコ独立記念日 |
9月16日 |
全国
(特にメキシコシティ) |
愛国パレード、花火、「エル・グリト」 |
リビエラマヤ国際音楽祭 |
11月末 |
プラヤ・デル・カルメン |
ビーチ×ジャcズ、無料ライブ |
死者の日や独立記念日などの大規模な祭りから、グアナファト国際映画祭やリビエラマヤのジャズフェスティバルなど、様々なジャンルのイベントが豊富にあります。
これらのイベントは、メキシコの多様な文化や人々の温かさを感じることができ、旅行者にとって忘れられない思い出となるでしょう。
メキシコを訪れる際には、ぜひこれらのイベントをチェックしてみてください。